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(ネタバレ・考察)「ヴェリティ/真実」

投稿日:

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 アメリカ
製作年 2026
公開年月日 2026/11/6
上映時間 117分
鑑賞 109シネマズ川崎

「説A」と「説B」、白黒つける。

アンハサよりもダコジョ派って少数派?
もしもこれを読んでいる2~3人の中に同志がいらっしゃったら連絡ください。

さて、どうだった?観た人。

なかなか面白いミステリーだったよね。モヤっとする終わり方で「イヤミス」の類に属するのかな。普段は極端なエンタメ主義で、映画には一切考察を求めない自分が、珍しく、鑑賞後は考察に没頭してしまった。頭の中で一定の結論がついて、どうしても発表したくなったので、ネタバレ鍵をかけて発表することにした。

観た人対象なので、設定やあらすじはすっ飛ばす。ちなみに原作未読。

ズバリ、この作品のキモって、「説A:ヴェリティ=実の娘を殺したサイコパス説」と、「説B:ジェレミー=無実の妻を追い詰めた冷酷な殺人鬼説」という二重構造だよね。

USBにあった手記を真実とする(説A)か、ラストの手紙を真実とする(説B)か。正反対の2つの解釈がどちらもほぼ完全に成立してしまうという美しさ。

まず説Aに立つと、映画は直球のサイコパスホラーになる。
売れない作家のローウェン(ダコジョ)は、事故で意思疎通が取れなくなった大人気作家ヴェリティ(アンハサ)の代わりに代筆を引き受け、夫ジェレミー(ジョシュ・ハートネット)の邸宅に滞在する。そこで見つけたヴェリティの「自伝の手記」には、夫の愛を奪った実の娘に殺意を抱き、事故に見せかけて殺害したという最悪の事実が記されていた。
手記を見つけたジェレミーによってヴェリティは窒息死させられるが、床下に残された「手記はただの創作練習だった」という手紙は、自分が殺されると察したヴェリティが、死後に残された二人を疑心暗鬼で破壊するために仕掛けた最後の復讐劇だった――という筋書きだ。

一方の説Bに立つと、世界は180度反転する。
ヴェリティの手記は、悪役の心理を掘り下げるためのただの「創作エクササイズ」だった。だが、それを勝手に読んだ夫のジェレミーが狂気的な勘違いを起こし、妻を車に乗せて衝突事故を偽装して殺そうとする。奇跡的に助かったヴェリティは、夫の恐ろしさに怯え、命を守る唯一の防衛策として寝たきりのフリを続けていた。ジェレミーはローウェンを利用し、「初めて手記を読んだ被害者」を演じながら妻の口を封じた。床下の手紙こそが、悲痛な真実だった――というストーリーだ。

どちらの視点で見ても、ストーリーは破綻しないのが素直にすごい。

「真実なんて、あなたがた鑑賞者にとってはどちらでもいい。主人公ローウェンだけが、この2つの真実を背負って生きていくのだ」
という、ある意味で完全なメッセージを持った結末。

……ただしだ。そこを敢えて白黒はっきりつけたい。

ここまで整理したうえで、個人的には「説B(ジェレミーが悪)」寄りなんじゃないかなと感じている。
製作者は「どちらを取るかは観客に委ねる」というスタンスを取りつつも、さりげなく説Bを示唆するような隙間を忍ばせている気がするんだよね。

そう感じる理由はいくつかある。

作中で語られる「悪役の心理になりきるための執筆エクササイズ」という手法が作家としてリアリティがあることや、前半で見せるジェレミーのやたら「完璧な夫」という佇まい自体がミステリーの典型的な伏線に見えること。そして何より、我々はローウェンという好意的な視点を通して見ているから無意識に「ジェレミー=善」「ヴェリティ=悪」と思い込まされている構造そのものが怪しい。

なかでも、個人的に一番の理由として挙げたいのは、やはり「手記の保存方法があまりに杜撰すぎる」ってことだ。

説A(ヴェリティが悪)であれば、あの自分の悪事を赤裸々に綴った手記は「絶対に見られたくない」。当然、消去するのがベストだが、作家としてある意味「最高傑作」であるあの手記を「残しておきたい」という気持ちはわかる。

だったら、せめてUSBにパスワードを掛けるとか、絶対に見つからない場所に隠しておくとか、方法はあったんじゃないか。自分の部屋のタバコの箱に隠していただけで暗号化すらしないのは、(製作側の感覚として)ストーリーのロジックとしてあまりに苦しい気がしてしまう。

そうなると、「説B」の方がしっくりハマる。

やっぱり手記は結局、「ただの創作テキスト」に過ぎなかったからじゃないか。「見られたくはないけれど、そこまで神経質に隠す必要もないもの」だった。そっちの方がはるかに自然に解釈できる。

ラスト、ローウェンは真相を確かめることを恐れ、手紙をポケットに突っ込んで、ジェレミーとの新しい命を選んだ。彼女はこれからも「説A」だと自分に言い聞かせて生きていく。自分が愛した男が本物の怪物だったかもしれない、なんていう「説B」の可能性には耐えられないからだ。

どうこれ? 正解でしょう?

製作者のみなさん、あるいは原作者のコリーン・フーヴァーさん(?)がこれを読んでいたら、こっそり教えてください。

おれは真実を誰にも喋りません。

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