勝利投手 中日 福 (2勝1敗0S)
敗戦投手 日本ハム B.ロドリゲス (0勝2敗1S)
セーブ 中日 又吉 (0勝1敗3S)
昨日のワンサイドゲームとは真逆の意味で、野球の醍醐味を楽しめるシーソーゲームだった。7回までは。
初回ドラゴンズが福留孝介のタイムリーで1点先制すると、3回裏にはファイターズ髙濱祐仁の2点タイムリーで逆転する。
荒れ気味だったファイターズ先発バーヘイゲンがようやくまとまってきた5回表に、今度はドラゴンズ木下拓哉が逆転ツーランホームラン。6回にも福留のタイムリー二塁打でさらに1点突き放すと、その裏に代打出場した王柏融が2点タイムリー二塁打を放ち追いつく。6回終了時点で4-4の手に汗握るドロースコア。攻撃時も守備時も片時も息を抜けない展開。野球の醍醐味。ファイターズファンというだけでなく、いち野球ファンとして幸福な時間だった。ただし7回までは。
8回表この幸福かつ絶妙なバランスが一気にドラゴンズに傾いてしまう。ここ最近の勝ちパターンの一角・ファイターズB.ロドリゲスが3安打1四球(故意死球)を集められ、一挙3失点を喫してしまった。8回で3点ビハインドはあまりにも重い。
ファイターズ打線は、7回以降1安打とドラゴンズの勝ちパターン(福敬登→祖父江大輔→又吉克樹)にほぼ完璧に抑え込まれ、3点ビハインドのままゲームセット。
今日の試合で44歳の福留孝介が4打数4安打の大当たり。うち3安打が得点に繋がるなど、昨夜の惨敗に沈みがちなドラゴンズ打線を強力に牽引していた。こういうベテランのモチベーターが元気なチームは強い。
王柏融の代打同点2点タイムリー二塁打
今日の試合でもっとも感情が高ぶったのは、ファイターズファンならばこの場面だろう。
2点ビハインドで迎えた6回裏、2アウト1塁3塁。「ここで得点しなければ負ける」という痺れる場面で登場した代打の切り札・王柏融。
火消し役としてマウンドに上がった谷元圭介の3球目、外目のストレートを逆らわずにジャストミートした打球は左中間を真っ二つに割った。ボールは転々と転がり、フェンスに跳ね返ったボールをセンター大島洋平がつかんだ頃には、1塁ランナー大田泰示は快速を飛ばして三塁を蹴っていた。
同点に追いつく見事な2点タイムリー!
あまりに興奮したおれは、気が付くと「うぉおおおおお!」と球場にいたら係員に注意されるレベルの雄たけびをあげていた。
「これは勝ったな!」。思ったんじゃない。一人なのに言った。
思うよりも先に、口が勝手に呟いていた。まだ同点だけど、野球の神様はこんな劇的な同点打を見せておいて、チームを負けさせるわけがないだろう。
負けた。
現実は甘くない。試合には負けてしまったが「結果的に王柏融の同点打はただのぬか喜びだったのか」と言われれば、そうは思わない。
王柏融は「絶対に打たなければならない」というあの痺れる場面で、集中し、見極め、見事ベンチの期待に応え、あの瞬間たしかに日本全国(と台湾)のファイターズファンを熱狂させた。雄たけびをあげたのはおれだけじゃないし、感動して泣いたファンもきっといた。試合の勝敗にかかわらず、その事実は変わらない。
その感動は今でこそ新鮮に覚えているが、時間が経つと「負け試合」の中に閉じ込められてしまうシーンゆえ、ここに特筆しておく。忘れたくない。