先週月曜日(8/24)は3点リードから9回に追いつかれてドロー。金曜日(8/28)はなんと7点差から猛烈に追い上げられてドロー。そして今日、4点リードから9回に追いつかれドロー。
ここのところファイターズはショッキングな「ドロー」試合が続く。
今日の試合は、ファイターズの1番淺間大基による景気のいい先頭打者ホームランで始まった。4連勝中の勢いをそのままに、今日も打線の爆発を予感させる幕開けだった。
ところがバファローズ先発竹安大知が打てそうで打てない。好調打線だけにボールは捉えるんだが、不思議と野手の正面に行ってしまう。
打ちあぐねている間に、3回表、ファイターズ先発の河野竜生がバファローズ打線に捕まった。先頭の紅林弘太郎にツーベースを打たれると、突然崩れてこの回4安打1四球。「崩壊」と言ってもいいほどに制御が利かなくなった。それでもバファローズの拙攻もあり、なんとか2失点にとどめることができた。
ただ、今のファイターズ打線にとって1点ビハインドなんて同点のようなもの。
大袈裟ではなく、今の絶好調打線には本当にそれくらいの迫力がある。中盤に入ると、まるで台本で決まっていたかのように反撃が始まった。
まずは4回王柏融のタイムリーで鮮やかに同点。5回にはR.ロドリゲスの2号ホームラン、さらに近藤健介の2点タイムリーで3点勝ち越し。一気に突き放した。ここで勝負あり!
……かのように見えた。
先発の河野は、3回のピンチを越してからは尻上がりに調子を上げ6回2失点でQS降板。その後は7回堀瑞輝(2アウト満塁まで追い込まれるが無失点)、8回井口和朋(三者凡退)がしっかり零封。
8回裏に石井一成による“ダメ押しタイムリー”が飛び出し、「今日も楽勝」と迎えた9回表。悪夢は突然にやってくる。
9回表にマウンドに上がった新クローザーB.ロドリゲスが、いきなり燃えた。
四球とヒットで出したランナーを、吉田正尚の完璧なツーベースで一掃され2失点、極めつけに続く杉本裕太郎に痛恨のツーランホームランでさらに2点。打撃陣がコツコツと積み重ねてきた4点のリードを一気に吐き出し、土壇場に同点とされてしまった。
それでもファイターズはサヨナラ勝ちを狙って9回裏に臨むが、ランナーは一人出たものの、後続がそれを返せずゲームセット。
ほんの十数分前までは勝ちムードだっただけに、その落差分だけ「悔しいドロー」。しかし、この「悔しいドロー」もここ10日で3度目ともなると、試合を振り返れる程度には慣れてきた。
試合を振り返れば、全体的にはいい試合だったと思える。華麗なる先制から逆転、すぐに追いついて勝ち越し、ダメ押し。投手もよかった。先発の河野から、少し打たれたが堀、頼れる井口へとつないで最終回まで持っていった。
悪いのは9回表、B.ロドリゲスだけ。基本的にチーム自体は調子いい。
幸運なことに4連勝は継続中だから、必要以上に落ち込む必要はない。今の調子をキープしながら、連勝を積み重ねていってほしい。
ロッドはメンタルの波の問題だから、座禅を組めばきっと戻る。能力は十分に知っているし、すぐにその力を発揮できると思うので、何度打たれたって応援も期待もやめない。
「特急ホクト」
R.ロドリゲスのホームランと迷ったが、このシーンは永久保存版。ロニーはまた打ってくれ。
8回裏、ヒットを打った王柏融の代走で出場した宮田輝星。「輝星」と書いて「ほくと」と読む。
1塁にいた宮田は、すかさずプロ入り初盗塁を決め2塁。そして問題の場面に至る。
2塁に宮田を置いて、絶好調の石井一成が勝負強くレフト方向へライナーを落とす。ワンバウンドで打球を捕球したレフト吉田正尚は、ほぼ無駄のない動きでバックホーム。捕球位置はかなり浅く、かつ返球も申し分ない。タイミング的にはアウトに見えた。
しかし宮田の足は思っていた以上に速かった。
返球が捕手若月健矢のミットに届いた瞬間には、既に宮田の左足はホームを捉えようとしていた。若月もそれを追いかけるようにタッチするが、虚しく空振り。振り返ると宮田はもう手が届かない位置まで飛び去っていた。
これを見た瞬間、ゾクゾクっとした。興奮した。
スピードスター五十幡が離脱して、こういう“コンマ1秒の興奮”は来季までお預けだと諦めていた。
まだまだ後半戦は始まったばかり。ファイターズはまだ面白い野球を見せてくれる。そんな期待を抱かせてくれるシーンだった。