ジャンル | サスペンス・ミステリー |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2011 |
公開年月日 | 2013/3/9 |
上映時間 | 95分 |
鑑賞 | アマゾンプライム |
ホラーあるある言いたい
10年近く昔に観て、エンドロールが流れ始めたときに「こんなんアリかよ!」とツッコんだ記憶がある。
さまざまなホラー映画のオマージュが散りばめられた作品なんだが、当時はまだホラー映画に現在ほど価値を感じていなくて(つまりホラー映画にもそれほど触れていなくて)、実は今一つピンときていなかった。
あれから10年、今では根っからのホラーファンになり、必修科目といわれる「ハロウィン」も「いけにえ」も「はらわた」も単位を取得した。ホラー偏差値を爆上げして、ついにおれはこの「キャビン」に帰ってきた。
なるほど。見え方が変わった。
完全にネタ映画だったんだね。この作品は、ホラーとして恐がるものではなく、ましてやストーリーを楽しむものでもなく、ホラーファンが「それそれ!」「あるある!」と手を叩きながら喜ぶ映画。
「ホラー映画のユニバース化」という発想が斬新だった。
世界のホラー映画で描かれている世界は実はつながっていて、それぞれに登場する殺人鬼やモンスターやゴーストは、各国の管理機関(?)によってコントロールされていた。
文字にすると、より実感するんだが、
……なんだこの設定! アタマおかしすぎる(=天才すぎる)だろ!
要するに、貞子もジェイソンもマイヤーズも、実はすべてこの機関(?)によって供給されていたってことかな。狼男も半魚人も、まさかあのゾンビの大群もお前らの仕業か!
もうね、製作者はホラーが好きすぎて、「ホラーあるある言いたい。いっぱい言いたい~♪」なんて夢をずっと思い描いていたんだろうと想像する。で、あるとき思いつくのだ。
「そうだ、全部つなげちゃおう」。
そうすれば、一つの作品にホラーのお約束を不自然なくぶち込める。だって、あらゆるホラーの設定やお約束を作ったのは、そもそもこの機関(?)だったんだから!
怪しいガソリンスタンド。森。湖。
エロい金髪、パリピリーダー、オタクジャンキー、誠実男、処女ファイナルガールという顔ぶれ。その死ぬ順番。
謎の地下室。謎の古書。ラテン語で甦るゾンビ……。
いちいち挙げていたら文字数が足りない。
そうです、全部あなたたちがやりました。天晴れです。降参!
ここ10年でホラー偏差値を爆上げしたつもりだったが、究極のオタクが創り出したトンデモ作品の前では、その足元にも及ばないことがわかった。たぶん、おれなんかが見逃している「ホラーあるある」は、まだまだ無数にあるんだろうね。
すっかりそんな負けマインドになっていたもんだから、終盤、管理施設のシーンに入ってからの阿鼻叫喚は、もはや「見てるだけー」状態。情報量が多すぎて、むしろ何も入ってこなくなっていた。うつろな表情で「あははー、しんでるしんでるー……」なんてつぶやいてた。
ただし、ラストでデカいアイツが出てきた瞬間は、やっぱり10年前と同じ言葉が出た。「こんなんアリかよ!」。
もっと修行します。