遺書(ブログ)

ロングレッグス

投稿日:

ジャンル ホラー / スリラー / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2023
公開年月日 2025/3/14
上映時間 101分
鑑賞 チネチッタ川崎

 

今年3番目くらいに怖い映画

「この10年でいちばん怖い映画」というよりは、今年3番目くらいに怖い映画だった。冷静に見れば決して怖くなくはないのに、煽りすぎて「ぜんぜん怖くない」になっちゃうのは過剰広告あるある。

そもそも「怖い/怖くない」で勝負しちゃダメな映画だよね。

20年で10の家族が不可解な一家心中(?)を遂げる。
そのいずれも両親と9歳の子供の3人家族という家族構成。謎の暗号メッセージ。事件日に一定の法則。そして薄気味悪い容疑者の影……。

これだけでも、個人的にはめちゃくちゃワクワクする。予告には「『セブン』『羊たちの沈黙』の再来」的な煽りもあったけれど、「怖い」よりもそっちメインでPRしていれば、ここまでの無駄なザワつきはなかったかも。まあ「セブン」「羊たちの沈黙」……とも言い切れない理由も最後まで観ればわかるんだけど。

以上、PR面の(スマートではない)やり口から、不満はいくつかあるにはあるんだけど、作品自体は個人的に好きな仕上がりだった。

特に主人公ハーカー捜査官のキャラクターが中二病(おじさん)心をくすぐられたね。

(1990年代という時代で)女性ながら若くしてFBI捜査官に抜擢されたエリート。そして、もはや超能力に近い並外れた直観力と分析力を持つ天才。一方で、確実に心に深い闇を抱えていそうなメンヘラで、誰にも心を開かない超コミュ障。そんな彼女が、FBI捜査官として底知れない恐怖へ勇敢に立ち向かっていく。

当然ね、「美人だから」ってのが前提にあるかもしれないけど(おれは隠さないよ)、それも含めてこのキャラクターがど真ん中ストレートのツボだった。

カッコいい。

演じているのはマイカ・モンロー――初めての出会いは「イット・フォローズ」でただ逃げ回るだけの尻軽ティーンで、次に会ったのは「インデペンデンス・デイ リサージェンス」のいけ好かないお嬢様だった。そして、年末に劇場鑑賞した「神は銃弾」で演じた命知らずな全身タトゥーのワイルドガールに続いて、「めちゃくちゃカッコいい女優になったなあ」とつい目を細めてしまった。引き続き追っかけよう。

演出も渋かったよね。8ミリ映画のような映像から始まったファーストシーンはワクワクさせられた。音楽もよかったし、あの耳に残る気色悪い不協和BGMも、ホラーシーンを盛り上げた。
オープニングタイトルと時折現れる章タイトル、エンドロールで、徹底的に使われた漆黒地に赤ゴシック文字のスタイルも、作品全体のトンマナをブラさずに整えてたと思う。

監督はいいセンスをしているよね……っていうと生意気か。言い直す。「自分とすごく好みが合うデザイン感覚の持ち主」だと感じた。他の作品も観てみようかなと思った。オズ・パーキンス監督(「サイコ」ノーマン・ベイツの息子!)、おれは好きだよ、この映画。

ただオズ。
最後に一つだけ文句がある。我らがニコケイのことだ。

一部では「さすがニコケイ!」とか「ニコケイならではの怪演!」とか絶賛されているようだけど、いやいやそれは違うと思った。ニコケイ学部卒のおれから言わせてもらうと、この役ではニコケイのポテンシャルは10パーも活かされていない。

少なくともここ10年のニコケイのニコケイたる所以は、第一にその卓越した「顔芸」だ。そして奇妙な動きだ。あんな分厚いメイクでは当然顔芸は封じられるし、奇妙な動きだって、あんな少しの出番ではその力量を存分に発揮できたとは言い難い。ニコケイが不適任だと言いたいわけじゃない。ただ「ニコケイ以外でもできた!」。

もう二度と、おれたちのニコケイをこんな無駄な使い方をしないでほしい。ニコケイ先生も、もう少し自覚を持ってくれよ。おれのために。

我ながら変な感想になってしまった。初の試みだが、要点を以下にまとめておく。

● 「10年で一番怖い」ってほど怖くない。でも「全然怖くない」は言い過ぎ。ちゃんと怖い。
● 「セブン」「羊たちの沈黙」に近いけど、実はジャンルは違う。
● 主人公のキャラが好き。マイカ・モンローかっこいい。
● 全体的なデザインが好み。オズ、おれは好きだよ。
● ニコケイをそんな使い方するな。

以上です。

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