遺書(ブログ)

愛はステロイド

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ジャンル ラブロマンス / サスペンス・ミステリー / スリラー / ドラマ
製作国 イギリス=アメリカ
製作年 2023
公開年月日 2025/8/29
上映時間 104分
鑑賞 TOHOシネマズ川崎

だってこれ、A24だもの。

「さ、最後の”アレ”はなんだったんだ……」

……という、鑑賞直後に10人中10人が脳内をよぎるだろう言葉が、例外なく口から漏れ出てしまった。

そんな、これまでの展開全てが上書きされてしまうほどの”ラストインパクト”に感想を持っていかれがちだけど、いや、なかなかどうして。全体的に面白いサスペンスだった。

序盤はエログロ、中盤からはまったく先の読めない不条理バイオレンス。登場人物の誰にも共感できなかったけれど、(最近流行りの)80年代のジトっとした雰囲気も手伝って、個人的には世界観にどっぷりのめりこめた。ワクワクした。

主人公ルーを演じたクリステン・スチュワートが男前だったね。個人的には「トワイライト」シリーズの”ザ・お姫様”みたいな印象で止まっていたので、あのベラと同じ女優が演じているとは信じられなかった。

偏見に歯止めがなかったあの時代に、ただ「我が道を行く」レズビアン。気が強くて不愛想で粗暴な性格。いわゆる「無気力系」に見えるが、やるべきことは平気な顔でやる(便所掃除のシーン、ありゃキツかった)。そして、一度人を愛したら、それ以外の全てを蹴散らしてとことん突き進む。

もうね、女優じゃないんだよ、顔が。ノーメイクでキリっと睨むその表情は、まるでイケメン若手俳優。古くはリバー・フェニックスとか、最近でいえば出だした頃のティモシー・シャラメのよう。これはモテる。

そんなルーがその肉体美に一目惚れをしてしまったのがジャッキー(ケイティ・オブライアン)。コイツも相当ヤバい。下品な男連中と殴り合いになり、慌ててルーに止められるが、「(止めなければ)絶対に勝てた」と息巻く。この女優さん、「絶対に最近どこかで見た!」と後で調べたら、そうか、「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」の、あのイケメン潜水艦女子隊員だった。よく覚えてるよ。

そんな猪突猛進のレズビアンカップルが、ある殺人を機に一直線で破滅へと向かっていく……というストーリーだった。

よくある展開としては、「その殺人を隠すために必死にどうのこうの……」というドタバタバイオレンスになりがちだけど、本作はそんな単純じゃなかったよ。

殺人を隠すならまずそうするよね。……ん? なんでそんなことするの? ま、いっか。で、ほら、やっぱりそうなっちゃうじゃないか! ええ?そうなる? ってかそうだったの? いやあ、それはダメだよ。え?そっち? お前も? ああ、デイジー!

観てない人は何を言ってるんだかわからないだろうけど、「予想を何度も裏切られた」というよりは、「予想なんか何も意味のないブットビ展開に転がされた」という方が近い。冷静に考えればかなり胸糞だけど、鑑賞後感はなぜか良い。転がされるのって気持ちいい。

そして「最後のアレ」だ。

まあね。アレに関しては「必要だったか?」と評価が分かれるんだろうけど、仮に「アレがなかったら」、もしかしたら特徴のない「並のバイオレンス映画」という印象になっていた気もする。

鑑賞直後(昨夜)は動転していたが、アクセントとして「あってよかった」と今は思える。だってこれ、A24だもの。

今回の「A24ガチャ」は当たり。

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