ジャンル | ホラー / サスペンス・ミステリー / ドラマ |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2025 |
公開年月日 | 2025/6/13 |
上映時間 | 110分 |
鑑賞 | チネチッタ川崎 |
矢口史靖の“普通が最恐”なJホラー!
矢口史靖監督作品は結構好きで、印象としては「笑えてすごく勉強になるお仕事映画」とか「笑えてすごく勉強になるサバイバル映画」とか「笑えてすごく勉強になる部活映画」とか、圧倒的な取材量を感じさせる、”ためになる系コメディ”の名人といった認識だった。
クラスメイトで例えると「一人だけ別次元に偏差値が高い超絶IQ優等生」。勉強もスポーツも学級委員も盛り上げ役も何でもできちゃう人。誰のクラスにも一人いたでしょ。
そんな矢口監督だから、「どうせ普通のホラーじゃないんでしょ?」という先入観はあった。怖がっている観客に向かって、「ビビった? 実は〇〇でしたー!」みたいな。
見た目通りの普通の人形ホラーであるはずがない。ならば一体なんなのか? それを確かめたいがために、いっさいの情報をシャットアウトして、昨日劇場で観てきた。
普通の人形ホラーだった。
ああ「普通のホラー」と言っちゃうと語弊があるか。
「超王道」「ど真ん中」「剛速球ストレート」、「嘘偽り」も「誤魔化しもない」「本物の」ホラーだった。「ただの普通」じゃない、「桁外れに普通」のホラー。近年ますます「ホラー」というジャンルが曖昧になってきているが、これは「ホラー」としか言いようのない「ホラー」。ヒネリが「普通」になった現代ホラーにおいては、「普通」なだけでもう「普通」じゃない。そういう意味での「普通のホラー」。早口疲れた。
ほんと怖かったよね、これ。
ホラー耐性はかなり強い方だと自認しているが、時々「うおお……」なんて声が出てしまった場面が何回もあった。
正直いうと矢口監督は畑違いだと思っていたけど、IQ優等生の初ホラーは、ものすごい変化球などではなく、優等生的に「ホラーの王道」を突き詰めたストレートなものだった。なるほど。
誰もが本能的に恐怖を感じる日本人形の造形はもちろんのこと、子供の不気味な独り言、ペタペタペタって足音、あっちかと思えばこっち、髪の毛、疑惑、幻想、幻覚、豹変、怨念、呪詛、都市伝説、壺。
Jオカルトホラーの陰湿な恐怖の要素がほとんど詰め込まれていた。ひとつひとつは「リング」(またはそれ以前)から続くベタなネタだけど、「怖い」を追求すればするほど結局こうなるんだよ。「敢えてヒネる必要なんてない」が矢口コンピュータの解答。一時的に世界を席巻した”Jホラーの怖み”は伊達じゃない。
結局「普通」が最強(最恐)!ってことを再認識させられた。
そろそろ「普通」がゲシュタルト崩壊してきた。
ただ、冒頭のあのシーンは一番しんどかった(怖かった、ではなく)。
あらすじや予告で”子供が亡くなってしまうのは誰もが知っている状態”なので、「ああ、(お話は)そこから始まっちゃうのか……」と初っ端から陰鬱になった。そして案の定、該当シーンでは居たたまれない気分になった。(※直接的な描写はない)
この場面だけは、特に小さな子を持つお母さんにとっては、ちょっとトラウマになってしまう危険があると思う。作品として重要だったのかもしれないけど、このシーンは避けて”子供が亡くなった後”から始めてもよかったんじゃないかな……なんて思っちゃった。本当に辛かったな。
その後の展開は、王道オカルトの上に、ちゃんとミステリー、サスペンス、スリラーの要素が無理なく乗っかっていて、最後まで興味を持って観ていられた。主人公夫婦(長澤まさみ・瀬戸康史)の他にも、ナイスキャラが何人も絡んできて(田中哲司・安田顕)、個人的には1分も飽きることはなかったね。丁寧なホラー映画だった。面白かった。
ところで、矢口監督のような「優等生監督」がこういうの撮っちゃうとさ、本職ホラー監督も穏やかではいられないんじゃないの?と思う。
「なんたら村」とか「アレがいる森」とかさ、過去の栄光を盾にして、ホラーを流して作ってるんじゃないよ、そこの”巨匠”たち!……おっと暴言失礼。
まあ、今の緩み切ったJホラー界に「一流監督ならば、初ホラーでもこんなのが作れちゃうんだよ!」と知らしめたならいいと思った(個人の意見)。ホラーファンの一人として、これで「Jホラー復活」のきっかけになってほしいと願う。
ちょっと大袈裟か。
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