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パテレを解約する前に観ておくべきハム10シーン

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11月9日「中田最終打席。感謝の拍手」

パ・リーグTVより

対千葉ロッテマリーンズ。ZOZOマリンスタジアム。
ファイターズ今季最終戦にして、パ・リーグ最終戦。ロッテも前日にCS進出を決め、完全なる消化試合だった。

追う展開からコツコツ得点を重ね、ついには勝ち越し土壇場で突き放すという、そこそこいい試合ではあった。しかしその日現地にいたおれの心に強く残ったのは試合展開じゃない。9回裏、中田翔の最終打席である。

結果は、いい当たりだったが平凡なセンターフライ

残念そうにベンチに戻る中田。しかしそんな中田を迎える3塁側内野席のファンたちの様子に、おれはジーンと胸が熱くなった。
凡退した中田に対し、観客から盛大な拍手が巻き起こったのである。多くのファンが中田タオルやユニホームを掲げていた。

その場面はテレビカメラには捉えられていない。だからパテレユーザーは是非とも注意深く“聴いて”ほしい。センターフライに打ち取られた瞬間、まずはロッテファンの拍手が起こる。しかしその後一拍置いて、拍手の第二波が起きているのがわかると思う。

ホームラン王まであと1本というところまで詰めながらも、数試合足踏みが続いていた。ファンは毎試合・毎打席ずっと期待を込めて応援し続けてきた。そしてこの今季最終打席でも、中田はファンが望む結果を出すことはできなかった。

それでもファンは惜しみない拍手を贈った。おれも手が痛くなるほど拍手した。

中田もその様子に気づいていたと思うが、舌を出してどこかバツが悪そうに見えた。
そりゃそうだ。結果にストイックな中田翔が、凡退したときの拍手なんて嬉しいわけがない。

でも大将、これは我慢してくれよ。

おれたちだって、凡退した選手に拍手するなんて変だと気付いてる。でも止めることができなかった。これは単なる打席結果に対する拍手じゃない。今年1年間の感謝の拍手だ。

コロナ禍の不穏な空気で始まった今シーズン。前半戦なかなか調子の上がらない打線の中で、「レベチ」中田は一人チームを引っ張り続けてくれた。中盤、調子を落とすこともあったが、苦しみながらもファンの期待になんとか応えようとバットを振ってくれた。順位がほぼ決まって、いわゆる「消化試合」になってからも、2冠(打点・ホームラン)挑戦という形でずっとワクワクさせてくれた。

中田翔は、120試合中120試合目の9回までファンに野球を楽しませてくれた。

プロ野球選手にとっては「結果が全て」だという。確かにそうだ。いくら努力しても、いくら頑張っても、凡退したら無だ。
でもファンにとってはそうじゃない。努力も頑張りもちゃんと見えているし、その様子を見て感動する。凡退で巻き起こった盛大な拍手がそれを証明している。

プロ野球は「結果が全て」だが、「結果が全て」が全てではない。

恐らくこのシーンが後世に語られることはない。だからこそ、この光景を目に焼き付けておこうと心に決めた。

さて、10番目に異様に力が入ってしまったが、以上がおれの「個人的2020ファイターズ名シーン10選」である。

ここからつまらない「野球のない冬」が始まる。
来季開幕までの間は、2020年の楽しい思い出を振り返りながら過ごしたい。

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