勝利投手 日本ハム 伊藤 (9勝5敗0S)
敗戦投手 楽天 早川 (7勝5敗0S)
セーブ 日本ハム B.ロドリゲス (0勝2敗3S)
昼間に鎌ヶ谷スタジアムで行われたファーム戦では、吉田輝星が7回を無失点ピッチングし、ルーキー今川優馬が2本塁打し、今年外野手から投手に転向した姫野優也が最速154㎞の剛速球で無失点デビューした。
その夜、本拠地札幌ドームでは、ファイターズ伊藤大海とイーグルス早川隆久というゴールデンルーキー対決が実現した。これから10何年にわたって「名勝負」を繰り広げていくだろうライバル同士によるこの最初の対決は、伊藤に軍配が上がった。
今日の伊藤はどうやら好調とはいえず、前回初完封のときのような圧倒的な投球ではなかった。毎回ヒットを打たれては、ギアを上げて何とか凌ぐ……という粘りの投球。7回まで投げ、3者凡退は1度きり。それでも2失点のHQSを達成したのはさすがといったところだった。
対照的に、イーグルス早川は序盤から圧倒的だった。ストレートとチェンジアップの緩急が冴え、序盤3イニングで4奪三振。ボールに当たったとしてもポップフライというノーヒットピッチング。一廻り目は「ちょっと手が出ない」といったアンタッチャブルな投球だった。
しかしそんな暗いムードを二廻り目に入った西川遥輝が断ち切る。ストレートをセンターにはじき返し、先頭出塁。すかさず盗塁を決め2塁。4番近藤健介によるタイムリーヒットで先取点のホームを踏んだ。一気にベンチに活気があふれる。
その後ファイターズは佐藤龍世のタイムリーも飛び出し2点リード。5回表にすぐさま伊藤が捕まり同点とされてしまうが、その直後、5回裏に再び近藤のタイムリーによって2点リードに戻した。
その後はイーグルスの継投によって無得点に抑え込まれるが、8回9回を堀瑞輝、B.ロドリゲスの勝ちパコンビにより、2点のリードをキープしたままゲームセット。
お立ち台に上がったのは、7回2失点で9勝目を挙げた伊藤大海と、勝負どころで3打点を決めた四番近藤健介の、文字通り「ゴールデン（金メダル）コンビ」。
抑えるべき投手が抑え、打つべき打者が打つ。理想的な勝利だった。昼間の”鎌ヶ谷軍”の活躍と併せて、ファイターズファンは今夜はいい夢が見られそうだ。
ド派手な「エアハルキX（エックス）」でエクスタシーなゲームセット
今日は試合展開が澱みなく楽しめる試合だった。ガッカリから始まり、ドキドキあり、ワクワクあり、歓喜あり、ハラハラがありながらも、しっかり安堵で着地した。
それを締めくくったプレーが最高だった。今のところはまだ記憶に新しい西川遥輝の「エアハルキ」だ。
2点リードで9回のマウンドに上がったのはB.ロドリゲス。前々回登板では、4点のリードを守り切れず炎上、勝ち試合をフイにしている。
まだ本調子ではないのか、今日も三者凡退とはいかず、1アウトから代打カスティーヨにヒットを許してしまう。続く山崎剛を三振に取るも、代走の村林一輝に盗塁を決められ2アウト2塁。
続くバッターの辰己涼介は甘いストレートを完璧に捉え、レフト方向へ強打する。
あちゃー！これは頭を超えちゃうわああ！！
……と頭を抱えた（おれが）瞬間、レフトの西川がジャンプ一番。空中の「X」ポーズでビッグキャッチ。
ゲームセット！
最高のプレーで幕切れ。恍惚の表情で天井を見上げ、「よしゃー！」と今日一番の声を上げるおれ。
もしもこれが抜けていたら、ロドリゲスの調子からいってどうなっていたかわからなかった。1点を返され、辰己は間違いなく2塁まで行っていただろうし、弱気になったロドリゲスがもう1本打たれれば同点だ。チームは勝ちを逃し、もしかしたら先日の失敗と併せて、ロドリゲスはクローザー失格の烙印を押されていたかもしれない。伊藤の勝ち星も消えた。ファイターズファンは、またあの日のように荒れた夜を過ごすことになった。
プレーが派手だっただけじゃない。チームにとってもロドリゲスにとっても、伊藤大海にとっても、そしてファンにとってもあまりに大きなプレーだった。
いつもクールな西川遥輝の熱いプレーにみんな救われた。イーグルス早川攻略の糸口を掴んだのも西川だったし、西川が熱く燃えればベンチは活気づく。やっぱり西川はこうでなくっちゃ、としみじみ感じるビッグプレーだった。