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【備忘観戦録】● 伊藤大海がたった一発に泣き5週連続で2ケタ勝利はお預け(10・14札幌ドーム)

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勝利投手 西武 松本 (9勝8敗0S)
敗戦投手 日本ハム 伊藤 (9勝9敗0S)
セーブ 西武 平良 (3勝4敗20S)

ファイターズ先発・伊藤大海が7回を投げ、6安打2失点の「ハイクオリティスタート(HQS)」を達成しても、味方打線の得点が「0」ではその好投が報われることはない。これで、9月7日に9勝を挙げ2ケタ勝利にリーチをかけてから5週連続で足踏み。今日も“10勝の壁”に跳ね返された。

得点のチャンスは何度もあった。

2回裏に1アウト1塁2塁の場面を作るが、佐藤龍世と中島卓也がフライと三振の連続アウトでランナー釘付け。4回裏は四球と髙濱祐仁の今日2本目になるヒットで1アウト1塁3塁という絶好の先制チャンスを作るも、松本剛の不可解な引っ張りゴロで併殺。続く5回裏にも2アウト1塁3塁のチャンスをまんまと逃した。

ライオンズ先発・松本航をさんざん追い込みながらも「あと1本」が出ない。こんなことをしている間に、味方の反撃を待って好投を続けていた伊藤もしびれを切らす。

6回表、ランナーを一塁に置いて四番の中村剛也へ投げたスライダーがど真ん中にいってしまった。ライオンズのレジェンド中村は、これを見逃してくれはしなかった。次の瞬間、弾丸のようにレフトスタンド中段に突き刺さる打球と、ガックリ肩を落とす伊藤。

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結果的に、このたった一球の失投が致命傷となった。8回には代わった玉井大翔が中村に2打席連続となる文字通り「おかわり弾」を浴び、これが終盤のダメ押し点となって、ここまで「ゼロ打線」の背中に重くのしかかった。ファイターズも8回9回とそれぞれランナーは出し抵抗を試みるが、もはや3点を跳ね返す力は残っていない。スコアボードに9つ目の「ゼロ」を並べて悔しい完封負け

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ファイターズの「完封負け」は今季17度目「完封分け」(8/15)を含めた“被完封”なら18度目。ファイターズファンとしては数えるのも嫌になるが、これも2021ファイターズの象徴的な数値である。「備忘観戦録」の意図を見失わないためにも、敢えてここに刻んでおく。

伊藤大海のサイドスロー

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今日は打線にいいところなく、全体的に振り返りたくはない試合になってしまったが、試合展開とは関係ないところで印象的なシーンがあった。

7回表1アウト走者なし。打席に左打者の戸川大輔を迎えて2-2の並行カウント。石川亮のサインに首を2回振った後に伊藤が投じた5球目に場内(というか実況席)がどよめいた。

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いつもはオーバースローの伊藤が明かなサイドスローで投げた。指にかかり過ぎたスライダーは制御できないほどの曲がり方をして、外側から左打者の戸川の足元をかすめんばかりのコースまで食い込んだ。球種を知っていたはずの捕手(石川亮)も面食らっていた。

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この”奇襲”が効いたのか、腰が引けた戸川は、次に伊藤がいつものオーバースローでしっかりコントロールされた外角球をバット先端に引っかけピッチャーゴロ。

「ダルビッシュか!」

と思わずツッコんだ。かつてファイターズの絶対的エースとして君臨していたダルビッシュ有も、勝負どころや、逆に調子が上がらない時などでこんな奇策を試す場面がよくあった。

実際に効果があるかどうかはわからない。むしろフォームを崩すリスクが気になってしまう。ダルビッシュ信奉者である伊藤らしいといえば伊藤らしい。ただ「チームの現状を自分が打破しなければ」という“エースの自覚”は感じた。勝つ可能性を上げるためなら、今ここでベストと思えるアイディアがあれば何だって試す

ダルビッシュは日本球界最高クラスの実力を持ちながら、どんな状況でも常に創意工夫して今考えうるベストを尽くし、さらなる高みを目指す“野球オタク”だった。野球が好きで好きでたまらない。野球で他人に負けたくない。だから自らの才能の上に研究と工夫を塗りたくり、現在の地位を手にしている。

間違いなく伊藤大海も“塗りたくる”タイプだ。今日は負けてしまったが、ダルビッシュコースをたどり、伊藤が絶対的エースとして君臨する日も近いな……と確信した場面として、胸に刻み込んでおきたい。

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