ゴールド・ボーイ

ちゃぶ台の返し合い展開

自主的配信スルー予定の作品だったが、やたら評価が高かったので、あまりに気になっちゃって劇場鑑賞に繰り上げ。

たしかに面白かった。

面白かったけど、極限まで上がり切っていたハードルは超えなかった。普通の中の最高レベル。ここまで煽られずに、予定通り半年後に配信で観ていたら、素直に「面白かった！」と大満足していたかもしれない。

「腹にイチモツを抱えた中学生が、サイコパス殺人者を脅迫する」という設定はいい。サイコ岡田将生はハマり役だったし、少年たちが不自然なイケメンアイドルじゃないのもよかった。
（主人公・朝陽を演じていたのは旧ジャニグループの一員らしいが、そうは思えない顔立ち。演技が薄気味悪くて良かった）

北村一輝＆黒木華の20歳差の元夫婦と、江口洋介＆松井玲奈という24歳差の従兄妹は（なくはないんだろうけど）、キャスティングの都合が透けて見えてちょっと雑音になった。

サイコ岡田を脅迫していたはずが、中盤から絶妙なバランスでバディ感が出てくるのも面白い。そして「最凶極悪グループ結成か」と思いきや、ラスト

岡田「ククク、そんなワケねえじゃん」
朝陽「うわっ！やられたー！、、、なんてね。そんなワケないでしょ（ニヤリ）」
岡田「ぐわー！（死）」

という、ちゃぶ台の返し合い展開は素直に気持ちよかった。
「そうそう、そうこなくっちゃ」と。

……ただなあ。
正直わかってた。

「朝陽が実はやべー奴」っていうのは、あえて最初から匂わせていたよね。たぶん観客のほとんどが、こうなるってことは感づいていたんじゃないか。

若手役者のファンにもわかりやすいよう、少年少女のレベルにあえて合わせたのか。もしくは、あえて「どんでん返し」に重点を置きたくなかったのか。

あまり比べたくはないけれど、これが韓国映画ならば、かたくなに朝陽の本性を観客に見せずに（ずっと優等生のように描き）、ラストのラストで「どやあ！」と、どんでんを返してきたように思う。

とまあ、ハードルが上がっていたが故の多少の雑音はあったけれど、誰にでもおすすめできる面白さだったことは間違いない。満足。

もしも半日前の自分にひとこと言えるなら「『ゴールドボーイ』は配信まで待て」と伝えたい。