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野球観戦技術論「どうせハムが優勝する」

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いよいよ6月19日からプロ野球が開幕する。
開幕だけを希望の光として過酷な冬を越してきたプロ野球ファンに、突如突き付けれた暗闇の春。非常に辛い3か月を過ごしてきた。
「嬉しい」では表現として不足だ。幸せ。快感。興奮。感激。絶頂。全部合わせるといったいどんな言葉になるのか。そんな気持ちだ。

別にコロナの脅威は去っていない。そんな中での開幕はそりゃあ心配だが、あらゆる策を講じて、考えられる限りリスクを最小限にまで減らして、ここまでこぎつけてくれたNPB関係者には本当に感謝である。できれば全員をハグさせてもらたいくらいだが、ご時世的に自粛しておくほかない。

さて、巷では早くも「どこが優勝する?」なんて予想が繰り広げられているようだが、この話題に関しては基本的におれは沈黙を貫く。なぜか。
聞かれても、おれはきっとこれしか言わないからだ。太字で書く。

パ・リーグは当然ファイターズだ。

以上。根拠も理屈も述べることはない。

常勝ソフトバンクにはダメ押しのようにバレンティンが加入し、練習試合では柳田悠岐が絶好調だが、もちろんファイターズが優勝する。
秋山翔吾が抜けようとも、相変わらず西武の腕っぷしが強いことは練習試合を観なくたって承知だが、当然優勝するのはファイターズだ。
楽天の石井GMがどんなに嫌われようと、なりふり構わず補強に力を入れていたが、悪いがファイターズが優勝する。
美馬学・ハーマン・福田周平・ジャクソンを手に入れたロッテや、山本・山岡の自慢の二枚看板にバリバリ現役メジャーリーガーのジョーンズの加入で破壊力を倍増させたオリックスが強いのはわかっているが、優勝するのは絶対ファイターズだ。

ほとんどの”評論家”たちがBクラス予想をしているのは鼓膜が擦り切れるほど聞いているが、問答無用でファイターズが優勝する。異論は一切聞きたくない。

「いやファンなのはわかるけど」「予想を言えよ、願望じゃなくて」「狂信者かよ」「ツマンネ」

野球論を交わしたい論客たちの呆れかえった声が聞こえてきそうだが、こればかりは仕方がない。おれはそういうスタンスなのだ。

いったいどういうスタンスか。

「結末は決まっていると仮定して、その結末に至る経緯を楽しむ」というスタンスだ。
意味がわからないだろう。当然だ。結構な時間考えたが、これ以上短い言葉が見つからなかった。これから説明する。

おれはプロ野球のほかに映画鑑賞が趣味である。ここ10年は、TSUTAYAやサブスクを利用して年間100作品は観ていると思う。
映画好き(ドラマ好きやアニメ好きでもいい)ならわかってもらえると思うが、触れた作品数が膨大になるにつれ、作品の楽しみ方が「視聴者目線」から「メタ目線」に変わってくるものだ。
つまり、最初こそ素直に登場人物に感情移入してワクワクドキドキしていたのが、徐々に「この演出はどういうことだ?」「この伏線はどう回収するんだ」のようになってくる。
ある種、(製作者の狙いとはややズレているという意味で)ひねくれた楽しみ方である。

同じように、おれはプロ野球も映画かドラマのように観ている。プロ野球も製作者がいて、筋書きは決まっている。と、あえて思い込む。当然「日本ハムファイターズが優勝する感動ドラマ」だ。

「日本ハムファイターズが優勝するドラマ」だから日ハムが優勝することが決まっていて、公式戦ではそこに至る”経緯”を楽しんでいるというわけだ。自主的なネタバレ観賞。
“結末を知りながら”、シーズン中は終始「この脚本家はどんな風に盛り上げてくれるんだ? ん?」という神視点である。

いや、スポーツは筋書きのないドラマだろ? そんな「シックス・センス」の主人公を、最初から幽霊として見るような観方が楽しいか? と訝しむ人もいるに違いない。

わかる。邪道だ。真似しなくていい。
でも胸を張って断言する。楽しい。

「どうせハムが優勝する」と思えば、
野球評論家が軒並みBクラス予想なのも、
ソフバン・西武が現状クソ強いのも、
より結末を盛り上げるための材料にしか思えなくなる。

3年目の清宮幸太郎がいまだスットコドッコイなのも、
台湾の至宝・王柏融が昨年はいまひとつだったことも、
ビヤヌエバが巨人で結果を残せず流れ着いてきたことさえも、
結末に「ハムの優勝」を持ってくれば、何かの伏線に思えてこないか?

1本のヒット、ホームラン、奪三振、ファインプレーだってただの1プレーじゃない。
痛恨の逆転ホームラン、目も当てられない守備のミスだって、「優勝」につながる大きな流れの中の重要なワンシーンになる。
大切な試合での大逆転勝利、一方、勝てると確信した試合の大敗に至るまで、「結局ハムが優勝する」と思えば、すべてのシーンに何らかの意味を含んでいるように思える。観る試合、打席、1球1球について、すべてが刺激的な瞬間になる。一瞬たりとも見逃せない。漫然と試合を追うよりも、格段に場面場面がキラキラ見える。

ただし、すべてが「どうせハムが優勝する」という神視点であることがキモだ。結末は動かしてはならない。

だから、ありきたりな理屈で「ハムが優勝できない理由」なんか聞きたくないし、それについては論じたくもないのだ。
もちろんプロ野球論を戦わせることも、プロ野球の楽しみ方の王道であることは承知している。ただおれはそのスタンスではない、それだけだ。邪魔はしないので邪魔しないであげてほしい。

もしも聞かれたとして、おれはまるでそういう鳴き声の動物のように「ハムガユーショー」と鳴き続けるのみだ。たぶんお互いに楽しくない。

ところで、こんな心配をする人もいるかもしれない。

結果、今年優勝できなかったとしたら?
そこまで信じ込んだら余計落ち込むんじゃないか?

そんな人には、その昔Twitterに降臨した「サザエbot」という”哲学者”がつぶやいたこの言葉を贈りたい。

「ワカメ?信じるっていうのは、『この人になら裏切られてもいい』って思えることを言うのよ。」

信じるということは、相手に結果を強く望むことじゃない。結果を出せなかったとしても、気持ちが変わらないという(自分へ向けた)自信のことだ。
おれはハムが優勝を逃したとしても、たとえ最下位に終わったとしても、熱狂的なファンであることは絶対に変わらない。したがって、怒り狂うこともなければ落ち込むこともない。

それに、これは「ファイターズの優勝を信じたまえ」という信仰論では決してない。
しょせん「優勝すると仮定すると楽しいよ」という野球観戦の”技術論”だと思ってほしい。
万人に勧めるつもりはないが、一つ一つのプレーにいつも怒ってるような人は身に着けた方が幸せなんじゃないかとは思う。

で、もしもハムが優勝できなかったら?

こう考えてしまうことはご法度だが、せいぜい「脚本家め裏をかきやがって。優勝は来年だったか」となるだけだ、ということだけ追記しておく。

ちなみに先日、オンライン飲み会でプロ野球の話題になったとき、相変わらずおれが「ハムガユーショー」とひたすら鳴き続けていたら、一人の友人が悪魔のような問いを突き刺してきた。

「パ・リーグの優勝チームを当てたら1億円もらえるとしたら?」

おれはわざと大声で答えてやった。

「ソフトバンク」

それとこれとは全然話が違う。
こいつとは二度と野球の話はしない。

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