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【備忘観戦録】〇斎藤佑樹引退を花道で飾る快勝(10・17札幌ドーム)

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勝利投手 日本ハム 上沢 (12勝6敗0S)
敗戦投手 オリックス 竹安 (3勝2敗0S)
セーブ 日本ハム 杉浦 (2勝2敗27S)

今日はどこかのタイミングで今季限りで引退する斎藤佑樹のリリーフ登板があるということで、最初から(「勝つ」という以外に)もう一つミッションが乗っかった試合。首位を争うバファローズにとっては「絶対に負けられない試合」だけに、“お約束”の三振はまず望めない。もちろん斎藤がホールドがつくような見事なリリーフっぷりを見せてくれるのが理想だが、斎藤に気持ちよく”最後の登板”を噛みしめてもらうには、中盤までにある程度余裕のある点差をつけておくことが望まれる。

打撃陣もこのミッションを重々承知していたのか、今日はよく打った。2回裏にはR.ロドリゲスのタイムリーツーベースで1点、4回裏には王柏融のソロホームランと淺間大基のタイムリー、さらに西川遥輝の犠牲フライで3点

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ファイターズ先発の上沢直之も4回に1点を奪われたが、これを大幅に上回る4得点で、注文通り中盤までに3点のリードを勝ち取る。

上沢もこの難しいマウンドに苦労していた。初回こそ3者連続奪三振と快調な滑り出しだったが、2回以降は毎回のようにランナーを出しながら、なんとか後続を断ち切るという苦しいピッチング。それでも5回まで1失点に食い止めていた上沢も、100球に近づく6回についに捕まった。四番杉本裕太郎の先頭安打を皮切りに、計3安打を集められ2失点。「斎藤のために」と準備された3点リードは、ここで「1点」になってしまった。それでも108球を投じた上沢は、自己最多12勝目の権利を持ってこの回でマウンドを下りる。

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そして7回表。斎藤佑樹がマウンドに上がった。

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1点差。当然バファローズは逆転のチャンスを狙って目をギラギラさせている。ファイターズだって得点を許すつもりはない。斎藤佑樹の最終登板は真剣勝負の舞台だった

最後の相手に選ばれたのは福田周平だ。先頭バッターだけに、もちろん絶対に塁に出ることしか考えていない。斎藤もストレート、ツーシーム、チェンジアップと、今持てる技術をすべて使って抑えようとする。

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素人のおれからみても球威はもうダメだ。変化球も曲がらない。それは斎藤自身も痛感していたと思う。それでも斎藤は「ミスショットでもいいから打ち取りたい」とばかりに、アウトローを中心に丁寧にコーナーを攻めた。攻めて、攻めて、攻め抜いた7球目は「ボール」

斎藤佑樹の最後は四球だった。しかし勝つために”攻めた”四球。痛む身体に悩まされながらも、決して諦めず戦い続けた斎藤佑樹。その現役時代を象徴するような、”斎藤佑樹らしい”フィナーレだったと思う。

斎藤は残念そうに笑って、最後の打者となった福田へ帽子を取って頭を下げた。真剣勝負してくれてありがとう。斎藤は「楽しかった」というスッキリした“佑ちゃんスマイル”でマウンドを下りた。

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この後を継いだ堀瑞輝は大変なプレッシャーだったと思う。ノーアウト1塁。斎藤佑樹が出したこのランナーは、斎藤のため、上沢の12勝のため、チームの勝利のため、3つの意味で絶対にホームに返してはならない。もともと過剰なプレッシャーは得意なタイプでもない。

しかし今日の堀は圧巻だった。2番のくせ者・宗佑磨から始まる打順を見事3者凡退。心からホッとした表情の堀と、その堀を心から嬉しそうにベンチへ迎える斎藤。

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その後の展開は割愛する。B.ロドリゲスと杉浦稔大という勝ちパターンが無安打でしっかり続き、試合はこのまま4-3でゲームセット

先発エース上沢はキャリアハイとなる12勝を挙げ、打線も勝負どころで打ったし、リリーフも勝負どころを抑えた。斎藤佑樹の引退試合という件を除いても、素晴らしい好ゲームだった。

最終登板を終えた斎藤は、ここからは我々と同じいちファイターズファンとして一緒に楽しもう。ファンもけっこう楽しいよ。

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「仲間を幸せにできるピッチャー」

日本ハムファイターズ公式YouTube

試合のシーンではないが、試合終了後に行われた斎藤佑樹の引退セレモニーは、見たものすべての人々の心に残るとても暖かいものになった。

最初に大型ビジョンで斎藤の軌跡を振り返りつつ、ゆかりの深い監督・コーチ・選手から花束贈呈。VTRメッセージでは、栗山監督をはじめ梨田元監督、高校の大先輩であるホークス王会長も温かい言葉を寄せてくれた。

皆一様に「よくやった。よく頑張った」と褒めてくれた。「基本辛いことだらけだった」と現役時代を振り返っていた斎藤も、これらの言葉には相当救われたことだろう。

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斎藤自身のスピーチでは、辛かったことなど一切語らず、最初から最後まで関係者やファンへの感謝を述べ続けた。「どんなにカッコ悪くても前だけを見てきた」「皆さんと過ごした時間は一生の宝物」。ボロボロになってもやり続けてきた現役時代に悔いはないこと。ファイターズ、ひいては野球に対する愛が伝わる清々しいスピーチだった。

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この後、球場を一回りする際に大型ビジョンで流されたサプライズが最高だった。鎌ヶ谷ファイターズによる「100%勇気」の合唱。盟友の杉谷拳士が中心となって、二軍選手たちが大はしゃぎして歌を贈っていた。

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そうだった。斎藤にとっての現役時代は、鎌ヶ谷で苦しんでいた想い出の方が圧倒的に多い。そんな斎藤を近くで見てきた二軍選手たちだって、斎藤のために何かしたかったんだ。「太陽みたいに笑う君はどこだい」。彼らの心のこもったはなむけは、泣いていた斎藤を一瞬で見事に笑顔に変えた。

これらの場面を受けて、UGKこと近藤祐司アナが締めた言葉が刺さった。

「仲間を幸せにできるピッチャーでした」

本当にそう思う。ここ数日、斎藤佑樹引退に関する記事はほとんど読んだが、どんなに熟練した記者が書いた言葉よりも、このフレーズが一番しっくりきた。

見ればわかる。斎藤佑樹に関わってきた人々はみんな幸せそうだ。

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